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[特別対談] 安藤忠雄×大橋博 世界のどこにもない大学をつくる。その志が原点。

IPU・環太平洋大学を語るとき、知と心を育てる独自の教育と安藤忠雄氏による5つの施設を外すことはできません。2019年3月、5つめの施設「DISCOVERY」が完成し、2022年には開学15周年を迎える今、大橋理事長(2023年4月より総長)と安藤忠雄氏が、これからの教育のあり方建築と教育の関係について語り合いました。

目次

日本一のキャンパスをつくる。
志が交差したあの日。

大橋総長(以下は大橋) IPU・環太平洋大学の歩みを振り返るたびに、安藤先生との出会いがあったからこそと感じます。安藤先生に初めてお目にかかったのは2007年だったのですが、昨日のことのように感じます。

安藤忠雄(以下は安藤) 大橋総長から「教育と体育の融合」を掲げて、世界のどこにもない大学をつくりたいと伺いました。若い人が、夢、目標に向かって躍動するように学ぶ、どこにもない大学のシンボルに相応しい建物とはどのようなものかと考え抜いて誕生したのが「TOPGUN」です。

「TOPGUN」 – 2009年竣工 –

大橋 「TOPGUN」は、体育施設であるだけでなくキャンパスのシンボルゲートであり、学生の夢、挑戦、達成の精神を体現する建物です。ユニークなデザインに誰もが感動を覚えます。私は、「TOPGUN」を初めて見たとき「世界のどこにもない、日本一のキャンパスに」という私の想いを、安藤先生は心で理解してくださっていると感じ、身体が震えました。

安藤 人間は感動したときに、そこにいる喜びを感じます。そこにいる喜びは生きる喜びにつながる。そんな体験を重ねることが人間力をつくるのではないでしょうか。特に、10代、20代の若いときに、感動する、心を振るわせるような体験をすることは大切なことです。学生時代に感動体験のない人は、一生感動できないのではと思うほどです。

大橋 そういう意味でも、学生の創造力を越えた発想で構築されたキャンパスに集い、感動を覚えながら学ぶことは本当に素晴らしいと思います。「TOPGUN」完成後、安藤先生に「PHILOSOPHIA」「HARMONY」「INSPIRE」「DISCOVERY」を手がけていただきました。「PHILOSOPHIA」をお願いする際は、「安藤先生の感性で、すべて創ってください」とお伝えしたことを覚えています。各施設が完成するたびに、日本のどこにもない大学をつくりたいという私の志が、安藤先生のお力で実現に向かって動いていることを実感しました。

自然を体感する「PHILOSOPHIA」。
スピーディな世界観の「INSPIRE」。

安藤 岡山には、江戸時代の藩校の閑谷学校があります。閑谷学校では、縁側で教えることもあったそうです。私は、その縁側に座って、縁側で教育をするとはどういうことなのかを考えました。縁側に座っていると時間の流れを感じ、月日の移り変わりで姿を変える自然を眺めることになる。縁側で教育するとは、姿を変える自然を眺めながら変わらぬ自分を探し、自分をつくることではないかと思いました。「PHILOSOPHIA」という学舎は、自分を探して、自分をつくる場所にしたいと考え、まるで自然の中に身を置いたように感じる吹き抜けをつくり、広々とした大きな空間をつくりました。

「PHILOSOPHIA」 – 2013年竣工 –

大橋 「PHILOSOPHIA」に身を置くと、学生が伸び伸びと成長する空間であることが直感的にわかり、ここが人間力を育てる場所になっていることがわかります。今、安藤先生のお話を伺い、「PHILOSOPHIA」の1階エントランスの庭で授業をするのも良いと感じました。

安藤 日本人は、季節感を大切にしてきた民族です。教室を出て庭で授業を受けると、いつもとは違う発見があるでしょう。小さな変化を、感じ取ることができる環境があるのは大切なことです。

大橋 おっしゃる通りです。2016年4月には、学生の食育と憩いの拠点「HARMONY」が完成しました。その後に完成した「INSPIRE」は、見るだけでスピード感を感じます。

「HARMONY」 – 2016年竣工 –
「INSPIRE」 – 2019年竣工 –

安藤 「INSPIRE」は、軽快でスピーディなイメージを生み出し、走り出したくなる感覚を大切にしました。V字型のモチーフを使って、今までにない世界観を生み出すことに挑んだ建物です。

大橋 2019年から、世界のトップアスリートが「INSPIRE」に集っています。世界大会に出場する前にIPU・環太平洋大学の「INSPIRE」で調整するといったことが浸透すれば、さらに新たな展開が生まれると思います。

2019年、DISCOVERY完成。
さらなる進化へ向けて始動。

「DISCOVERY」 – 2019年竣工 –

大橋 2019年3月には、「DISCOVERY」が完成しました。「DISCOVERY」は、主体性や協調性をはじめ、自分で考えて行動する「非認知能力」を養う中心的な場所です。きらめく水面を見ながら橋を渡った所のプレゼンテーションスペースがあります。ここは200人が収容できるため、100人規模のグループワークに取り組むことができます。大勢でディスカッションし、各チーム代表がプレゼンテーションをして、大勢の人を前にしても動じることなく自分の考えを発表し、どのような質問にも答えられる力を養います。また、ここで学部や学科、文系、体育系の垣根を越えて皆が語り合うなど素晴らしい場所になっています。

2019年3月28日 DISCOVERY竣工式

安藤 人と人が垣根を越えて刺激し合うといった話を伺うと、ワクワクします。「DISCOVERY」で、野球部と柔道部の部員が話をすることで、今までにない練習方法を思いつくなど新しい発見もあるのではないでしょうか。スポーツの世界も、ただ肉体を鍛えれば良いというものではなく、考える力を鍛えなければ高みを目指すことはできません。それにしても、約1 0 年でI P Uを、世界のどこにもない大学、日本一のキャンパスに育ててこられたと思います。大橋総長と大橋学長がIPUの魅力を創る要を担い、私は建築でお二人の教育に対する考え方と生き方をかたちにしてきました。IPUの様に、着実に成果を出している世界中の成功事例には共通することがあります。それは、中心となっている人の熱意があるということ。これまで建築家として世界中で仕事をしてきた私の率直な感想です。

大橋 22歳のときに教育で生きることを志しました。その後は、何があっても諦めることなく進んできました。その中で安藤先生に出会うことができ、私の教育に対する情熱と安藤先生の感性で、どこにもない大学、日本一のキャンパスができました。2022年、開学15周年を迎えます。この記念すべき年を、万全の体制で迎えることができます。

安藤 IPUには、これからも人間をつくる学舎であり続け、岡山から関西へ、関西から日本へ、日本からアジアの学びの拠点へと進化していただきたいと思います。期待しています。

大橋 心して前進いたします。本日はありがとうございました。

環太平洋大学 第一キャンパス 全景

プロフィール

建築家 安藤忠雄
1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。1979年《住吉の長屋》で日本建築学会賞、1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2002年アメリカ建築家協会(AIA)ゴールドメダル、2005年国際建築家連合(UIA)ゴールドメダル、2010年文化勲章、2013年フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)、2015年イタリアの星勲章グランデ・ウフィチャーレ賞など受賞多数。イエール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授、現在、名誉教授。

学校法人創志学園 総長 大橋博
1944年岐阜県生まれ。関西大学法学部卒業。兵庫教育大学大学院教育研究科修了。学校法人創志学園の創立者であり、総長。高校・専門学校・短大・大学から、生涯教育に至るまで、一貫した教育体系を構築し、国内外に展開。1987年に「環太平洋大学構想」を提唱し、1990年ニュージーランド初の私立国際大学「インターナショナル・パシフィック・カレッジ(現・IPU New Zealand)」を開学。2007年、日本にIPU・環太平洋大学を開学。同年にニュージーランド・メリット勲章(教育部門)受賞。2020年、旭日中綬章受賞。

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