接骨院・整骨院を開業するまで|柔道整復師の資格取得から独立まで

接骨院・整骨院の開業を目指すには、柔道整復師の国家資格を取得するだけでなく、施術所の届出、設備、資金、保険の取扱い、患者への説明、地域との関係づくりまで準備する必要があります。

特に区別したいのが、「施術所を開設すること」と「柔道整復療養費の受領委任を取り扱うこと」です。施術所の開設自体と、受領委任を扱う施術管理者の要件は同じではありません。

IPU・環太平洋大学 体育学部 健康科学科では、柔道整復師の国家試験受験資格の取得を目指し、附属鍼灸整骨院での臨床実習やスポーツ現場での活動を通じて、卒業後に施術者として経験を積むための知識と技術を身につけます。接骨院を開業し、スポーツトレーナーとしても活動する卒業生もいます。

この記事では、柔道整復師の資格取得から開業までの流れ、受領委任の要件、健康保険の対象、開業前に身につけたい力と、IPU・環太平洋大学での学びを解説します。

目次

柔道整復師が接骨院・整骨院を開業するまでの流れ

自分が柔道整復師として施術する場合は、養成課程、国家試験、免許取得までが共通の出発点です。その後、勤務先で臨床経験を積みながら、開設する地域、提供する施術、受領委任の取扱いを決めていきます。

1.指定された養成課程で3年以上学ぶ

柔道整復師国家試験の受験資格を得るには、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した柔道整復師養成施設で、3年以上、必要な知識と技能を修得します。大学は4年間、専門学校は3年以上の課程が一般的です。

進学先では、国家試験対策だけでなく、外傷を判断するための基礎医学、実技、臨床実習、患者への説明、卒業後の進路まで確認する必要があります。大学と専門学校の違いは「柔道整復師・スポーツトレーナーを目指すなら、大学と専門学校どちらが合う?」で詳しく解説しています。

2.国家試験に合格し、柔道整復師免許を取得する

養成課程を修了して受験資格を得たら、柔道整復師国家試験を受験します。試験に合格し、柔道整復師名簿への登録を受けることで、柔道整復師として業務を行えます。最新の受験資格や日程は、厚生労働省の「柔道整復師国家試験の施行」で公表されます。

柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫などに対して施術を行います。外科手術や薬品の投与はできず、骨折・脱臼への施術は、応急手当を除いて医師の同意が必要です。

3.施術所などで臨床経験を積む

免許取得後は、接骨院・整骨院、病院・医院などで経験を積み、問診、外傷の評価、施術計画、固定、後療法、記録、患者への説明を実践します。症状だけで判断せず、医療機関へつなぐべき状態を見極める力も必要です。

開業後は、施術に関する最終的な判断に加え、院の運営やスタッフ教育にも責任を持ちます。勤務期間中に、施術の件数だけでなく、受付から会計、保険請求、予約管理、地域の医療機関との連携まで経験しておくことが大切です。

4.開業計画と資金計画をつくる

開設する地域、患者層、提供する施術、診療時間、必要な設備、スタッフ数を整理し、初期費用と毎月の収支を試算します。物件取得費、内装費、施術台や機器、広告、システム、保険料、運転資金などを分けて見積もります。

売上だけでなく、家賃、人件費、借入返済、消耗品費、通信費などの固定費・変動費も計算します。患者数が計画を下回る期間を想定し、開業後の資金が不足しないように準備します。

5.物件と設備を整え、施術所開設届を提出する

施術所には、施術室や待合室の広さ、換気、採光、清潔保持などの構造設備・衛生上の基準があります。契約や内装工事の前に、開設地域を管轄する保健所などへ相談し、物件と設計が基準に適合するかを確認する必要があります。

柔道整復師法第19条により、施術所を開設した者は、開設後10日以内に所在地、従事する柔道整復師などを届け出ます。岡山市で開設する場合の様式や窓口は「施術所(柔道整復)」で案内されています。

6.受領委任を扱う場合は施術管理者の手続きを行う

健康保険の療養費は、患者が施術費を全額支払い、後から保険者へ請求する「償還払い」が原則です。柔道整復では、患者が窓口で一部負担金を支払い、柔道整復師が残りを保険者へ請求する「受領委任」も認められています。

受領委任を取り扱う施術所では施術管理者を置き、地方厚生(支)局へ届出または申出を行います。2026年9月時点で、施術管理者には柔道整復師免許に加え、原則3年以上の実務経験と、16時間以上・2日程度の施術管理者研修の修了が必要です。

※施術管理者の実務経験要件は見直しが検討されることがあります。開業時には、厚生労働省と管轄する地方厚生(支)局の最新情報を確認する必要があります。

開設者・柔道整復師・施術管理者の違い

「接骨院を開く人」「患者へ施術する人」「受領委任を管理する人」は、制度上の役割が異なります。開業計画では、誰がどの役割を担うのかを整理します。

役割 主な内容 必要な資格・手続き
開設者 物件や設備を用意し、施術所を開設する 開設後10日以内に施術所開設届を提出する
柔道整復師 患者に対して柔道整復を業として行う 柔道整復師免許が必要
施術管理者 施術所で受領委任の取扱いを管理する 免許、実務経験、研修修了、地方厚生(支)局への手続きが必要

柔道整復師法は、施術所の開設者と、業務に従事する柔道整復師を分けて規定しています。資格を持たない個人・法人が開設者になる場合でも、実際に柔道整復を業として行えるのは、医師を除き柔道整復師に限られます。

また、「開業には必ず3年の実務経験が必要」という説明は正確ではありません。原則3年以上の実務経験は、受領委任を取り扱う施術管理者になるための要件です。ただし、制度上開設できることと、施術・経営の準備が十分であることは別です。安全な施術と安定した運営のために、免許取得後の実務経験が重要になります。

健康保険の対象になる施術を理解する

接骨院・整骨院で受ける施術のすべてが、健康保険の対象になるわけではありません。厚生労働省の「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱い」では、対象と注意点が示されています。

区分 内容
対象になり得る負傷 骨折、脱臼、打撲、捻挫(いわゆる肉離れを含む)
医師の同意 骨折・脱臼は、応急手当を除いてあらかじめ医師の同意が必要
対象外の例 単なる肩こり、筋肉疲労など
同じ負傷の治療 保険医療機関で同じ負傷を治療中の場合、柔道整復師の施術は保険の対象外

開業後は、患者の希望だけで保険の適用を決めることはできません。負傷の原因と状態を確認し、対象外となる場合や医師の診察が必要な場合を分かりやすく説明します。施術録や申請書類を適切に作成・管理する力も欠かせません。

開業前に身につけたい5つの力

接骨院・整骨院の運営には、施術技術に加えて、判断、説明、保険・記録、経営、地域連携の力が必要です。養成課程と卒業後の実務経験を通じて、次の5つを積み上げます。

1.外傷を評価し、安全に対応する力

問診、視診、触診、徒手検査などから負傷の状態を把握し、柔道整復の適応を考えます。重い外傷や疾患が疑われる場合は、施術を続けず医療機関への受診を促す判断が必要です。

施術所にある機器の操作だけでなく、それぞれの目的、禁忌、注意点を理解します。固定や後療法も、患者の状態と回復段階に合わせて計画します。

2.患者へ分かりやすく説明する力

患者は、痛みや不安を抱えて来院します。負傷の状態、施術の目的、通院の見通し、日常生活での注意点、費用、健康保険の取扱いを、専門用語に偏らず説明することが大切です。

説明後に同意を得るだけでなく、患者の質問や生活背景を聞き、施術計画へ反映します。信頼は施術結果だけでなく、日々の説明と対応の積み重ねから生まれます。

3.保険請求と記録を適切に扱う力

受領委任を扱う場合は、療養費の支給対象、申請書、領収証、施術録、本人確認などのルールを理解します。保険対象と自費施術の区分を曖昧にせず、患者にも費用の内訳を伝えます。

制度や様式は変更されることがあります。厚生労働省、地方厚生(支)局、保険者などの情報を継続的に確認し、院内の手続きとスタッフ教育を更新します。

4.収支と組織を管理する力

開業後は、施術者であると同時に経営者でもあります。売上、費用、資金繰りを把握し、納税、契約、個人情報管理、労務などにも対応します。スタッフを雇う場合は、業務の分担、教育、勤務管理が必要です。

経営計画は一度作って終わりではありません。患者数、施術内容、再来率、費用を定期的に振り返り、地域のニーズと院の強みを踏まえて改善します。

5.医療・スポーツ・地域と連携する力

柔道整復師だけで対応できない状態では、医師などの医療職へつなぐ必要があります。スポーツ現場では、監督・コーチ、トレーナー、保護者などと情報を共有し、競技復帰までの役割を整理します。

地域の学校、スポーツチーム、介護・福祉施設などとの関わりは、院の役割を広げます。相手の専門性を尊重し、柔道整復師として担える範囲を明確にして連携します。

IPU・環太平洋大学で開業後まで見据えて学ぶ

IPU・環太平洋大学 体育学部 健康科学科では、柔道整復師の国家資格取得を目指す学びと、スポーツ・健康分野の学びを組み合わせ、接骨院・整骨院、医療機関、スポーツ現場などで人の身体を支える力を育てます。

日本の体育学部で唯一、柔道整復師の取得を目指せる

本学の健康科学科は、日本の体育学部で唯一、医療系国家資格である柔道整復師の取得を目指せる学科です。解剖学、生理学、運動学、柔道整復理論・実技、臨床実習などを通じて、身体と外傷を医学・スポーツの両面から学びます。

柔道整復師として接骨院を開業する道に加え、病院・医院、スポーツ・フィットネスクラブ、プロ・実業団チーム、福祉・介護施設などの進路も見据えられます。

附属鍼灸整骨院で臨床に必要な判断と対応を学ぶ

本学では、附属鍼灸整骨院での臨床実習を通じて、患者対応、外傷の評価、施術の考え方、記録、安全管理を学びます。授業で修得した知識と技術を臨床に近い環境で結びつけ、卒業後の実務へ備えます。

臨床では、症状を把握するだけでなく、柔道整復の適応範囲を考え、必要に応じて医療機関へつなぐ視点が重要です。教員の指導を受けながら、施術前の情報収集から施術後の説明までを一連の流れとして学びます。

スポーツ科学を生かして根拠を考える

本学では、経験や感覚だけに頼らず、客観的な情報から身体の状態を捉える力を育てます。スポーツ科学の設備や研究環境も活用し、外傷の予防、競技復帰、コンディショニングを考えます。

接骨院を開業してスポーツ選手を支える場合も、施術だけで完結するとは限りません。競技特性、トレーニング、栄養、心理、医療との連携を理解し、必要な専門職と協力する力を身につけます。

2025年度は柔道整復師国家試験合格率100%

IPU・環太平洋大学では、2025年度、柔道整復師国家試験を現役生47名が受験し、全員が合格しました。合格率は100%です。詳しい実績は2027年度大学案内に掲載しています。

国家試験合格は、柔道整復師として働くための出発点です。本学では、資格取得後に接骨院・整骨院や医療・スポーツの現場で経験を積み、将来の開業へつなげられるよう、臨床とスポーツの両面から学びを深めます。

卒業生の開業経験から学ぶ

健康科学科を2016年に卒業した今井寛人さんは、柔道整復師免許を取得後、東京の接骨院で4年間経験を積み、2020年に島根県で独立開業しました。株式会社Reto 今井接骨院の院長として施術を行い、スポーツトレーナーとしても活動しています。

今井さんは、本学で柔道整復師やトレーナー分野の専門知識を学び、部活動で選手や患者への対応を経験しました。開業を目指す学生にとって、資格取得後に現場経験を重ね、施術者と経営者の両方の力を育てる具体的な進路例です。

よくある質問

柔道整復師免許を取れば、すぐに接骨院を開業できますか?

自分で柔道整復を業として行うには免許が必要です。施術所を開設した場合は、開設後10日以内に管轄する自治体へ届け出ます。ただし、受領委任を取り扱う施術管理者には、免許に加えて原則3年以上の実務経験と研修修了が必要です。

開業するだけでも3年以上の実務経験が必要ですか?

原則3年以上の実務経験は、受領委任を取り扱う施術管理者になるための要件です。施術所の開設自体に同じ実務経験要件があるわけではありません。ただし、安全な施術と院の運営を行うため、免許取得後に臨床と運営の経験を積むことが重要です。

受領委任を扱わなければ、すべて自費施術になりますか?

必ずしもそうではありません。療養費は、患者が費用を全額支払った後に保険者へ請求する償還払いが原則です。受領委任は、患者が窓口で一部負担金を支払い、柔道整復師が残りを保険者へ請求する例外的な取扱いです。

接骨院・整骨院の施術はすべて健康保険の対象ですか?

すべてが対象になるわけではありません。骨折、脱臼、打撲、捻挫などが対象になり得ますが、単なる肩こりや筋肉疲労は対象外です。骨折・脱臼は応急手当を除いて医師の同意が必要で、同じ負傷を保険医療機関で治療中の場合も対象になりません。

接骨院と整骨院に制度上の違いはありますか?

接骨院・整骨院は、いずれも柔道整復師が施術を行う施設の呼び方です。柔道整復師法では「施術所」と規定されており、接骨院と整骨院という名称の違いによって、資格や届出の制度が変わるわけではありません。

IPU・環太平洋大学では開業を目指すために何を学べますか?

健康科学科で、柔道整復師国家試験の受験資格取得を目指し、基礎医学、柔道整復理論・実技、臨床実習を学びます。附属鍼灸整骨院での実習やスポーツ現場での活動を通じて、外傷への対応、患者への説明、医療・スポーツとの連携を身につけ、卒業後の実務と将来の開業へつなげます。

まとめ

接骨院・整骨院を開業するには、指定された養成課程を修了し、柔道整復師国家試験に合格して免許を取得します。その後、臨床経験、事業・資金計画、物件・設備、施術所開設届を準備します。受領委任を取り扱う場合は、施術管理者の実務経験と研修、地方厚生(支)局への手続きも必要です。

IPU・環太平洋大学 体育学部 健康科学科では、柔道整復師の国家資格取得を目指す学び、附属鍼灸整骨院での臨床実習、スポーツ科学、スポーツ現場での実践を組み合わせ、患者や選手の身体を支える力を育てます。

開業はゴールではなく、施術者・経営者として地域の人を支え続ける出発点です。本学で医学とスポーツの両面を学び、卒業後に現場経験を積みながら、安全な施術、適切な保険の取扱い、信頼される院づくりへつなげていきます。

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