IPU・環太平洋大学 体育学部の健康科学科では、柔道整復師国家試験の受験資格につながる学修と、スポーツトレーナーに関する学びを4年間で組み合わせています。
柔道整復師は、骨折・脱臼・捻挫・打撲などの外傷に対して柔道整復を行う医療系の国家資格です。一方、スポーツトレーナーには、ケガの予防、コンディショニング、競技復帰、身体づくりなど、選手を支えるための幅広い役割があります。
IPU・環太平洋大学では、医療とスポーツを別々に学ぶのではなく、資格の学修、臨床実習、競技現場での活動、スポーツ科学の測定・分析をつなげ、選手や地域の健康を支えられる人材を育成します。この記事では、健康科学科の4つのコース、取得を目指せる資格、4年間の学び、実習・活動環境、卒業後の進路を具体的に解説します。
健康科学科で目指せること
健康科学科では、柔道整復師国家試験の受験資格につながる学修を軸に、スポーツトレーナー、ストレングス&コンディショニング、健康運動指導など、将来像に応じた専門性を身につけます。
柔道整復師とトレーナー資格は、それぞれ役割と資格条件が異なります。違いを理解したうえで複数の視点を身につけることが、医療とスポーツの両面から選手を支えるための基礎になります。
柔道整復師の役割
柔道整復師は、医師である場合を除き、業として柔道整復を行うために必要な国家資格です。骨折・脱臼への施術は、応急手当を除き医師の同意が必要であり、外科手術や投薬は行えません。
免許を取得するには、指定された養成課程で必要な知識と技能を修得して国家試験の受験資格を得た後、試験に合格する必要があります。卒業しただけで免許を取得できるわけではありません。
スポーツトレーナーの役割
スポーツトレーナーの仕事は、資格や所属する現場によって異なります。例えばJSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)は、スポーツドクターやコーチと連携し、外傷・障害の予防、コンディショニングとリコンディショニング、安全・健康管理、医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応、パフォーマンスの回復・向上を支援します。
JSPO-ATは柔道整復を業として行うための国家資格ではありません。柔道整復師免許とトレーナー資格の両方を目指すことで、それぞれの専門性と役割の範囲を理解し、状況に応じて適切な支援や連携を考えられる力を養います。
将来像に合わせて選ぶ4つのコース
健康科学科には、将来の働き方に合わせた4つのコースがあります。コースの選択時期は2年次後期です。入学後に基礎を学びながら、目指したい資格や進路を具体化していきます。
| コース | 主な学び | 進路イメージ |
|---|---|---|
| 柔道整復師・スポーツサポートコース | 柔道整復、トレーナー活動、競技復帰支援、スポーツ科学 | スポーツ現場のトレーナー、チーム帯同 |
| 柔道整復師・メディカルサポートコース | 柔道整復、臨床を重視した実技・実習、地域医療 | 接骨院・整骨院、病院・医院 |
| 柔道整復師・ヘルスサポートコース | 柔道整復、健康運動指導、健康増進、介護予防 | 健康支援、福祉・介護、フィットネス |
| ライフパフォーマンス・トレーナーコース | トレーニング、コンディショニング、フィットネス | フィットネス分野、スポーツ現場のトレーナー |
柔道整復師・スポーツサポートコース
プロスポーツ、実業団、クラブチーム、地域のスポーツチームなどで、選手の競技生活を支えるトレーナーを目指すコースです。柔道整復師の国家試験受験資格に加え、所定の要件を満たすことで、JSPO-AT、JPSUスポーツトレーナー、JATAC認定アスレチック・トレーナー、NSCA-CSCSなど、スポーツ現場につながる資格の取得を目指せます。
IPU・環太平洋大学では、体育会クラブに学生トレーナーとして所属し、日々の練習や試合に関わりながら実践力を磨けます。学内のスポーツトレーナーチーム「SAT」では、ケガをした選手への対応、競技復帰に向けたトレーニング、コンディショニングなどを実践。選手の状態を把握する力だけでなく、監督・コーチや医療関係者と情報を共有し、必要な支援を判断する力も養います。
スポーツ科学センター「INSPIRE」では、競技特性や身体の状態を客観的なデータから捉え、トレーニングやコンディショニングに生かす方法を学びます。プロスポーツチームでのトレーナー実習や、岡山マラソン、車いすロードレースなどの大会・イベントでのサポート活動も、学内で得た知識を現場で試す機会です。医学的な知識、スポーツ科学の根拠、現場での対応経験を結びつけ、選手を継続的に支えられるトレーナーを育成します。
柔道整復師・メディカルサポートコース
接骨院・整骨院や医療機関などで、幅広い年代の患者に向き合い、地域医療に貢献できる柔道整復師を目指すコースです。柔道整復師の国家試験受験資格を軸に、初級パラスポーツ指導員の資格取得も目指し、身体の状態や生活背景が異なる一人ひとりを支える力を身につけます。
1・2年次には、解剖学や生理学などの基礎医学を土台として、骨折・脱臼・捻挫・打撲といった外傷、内科学、外科学、整形外科学、公衆衛生学、関係法規などを学びます。包帯、固定、テーピング、外傷への対応を実技で繰り返し、施術の方法だけでなく、柔道整復師が対応できる範囲や医療機関との連携が必要な場面についても理解を深めます。
3・4年次には、臨床経験を持つ教員の指導のもと、より専門的な知識・技術と国家試験対策を積み重ねます。IPU附属鍼灸整骨院での見学・臨床実習に加え、学外の医療機関や高齢者施設での実習も用意。実際の患者や選手への対応、超音波画像観察装置や物理療法機器を用いた評価・施術を経験し、根拠をもって状態を判断し、適切な支援につなげる臨床力を養います。
柔道整復師・ヘルスサポートコース
柔道整復師としての外傷や身体機能に関する知識と、健康運動指導の専門性を組み合わせ、健康づくりや介護予防を支える人材を目指すコースです。柔道整復師の国家試験受験資格に加え、健康運動指導士、健康運動実践指導者などの資格取得を目指し、治療や競技復帰だけにとどまらない支援の方法を学びます。
健康運動に関する授業・実習では、年齢、体力、既往歴、運動習慣などを踏まえて、安全で継続しやすい運動を考える力を養います。学生が主体となって実施する健康運動教室では、対象者に合わせた実施計画の作成から、準備、実践指導までを担当。知識を一方的に伝えるのではなく、参加者の反応を見ながら運動の強度や方法を調整する経験を重ねます。
柔道整復で学ぶ身体の構造や外傷への理解があるからこそ、痛みや身体機能に不安を抱える人にも配慮した運動支援が可能になります。IPU・環太平洋大学では、スポーツ・健康科学の専門知識と実践経験を結びつけ、地域の健康教室、フィットネス施設、福祉・介護分野などで、健康寿命の延伸を支えられる力を育てます。
ライフパフォーマンス・トレーナーコース
フィットネス分野やスポーツ現場で、すぐに実践できる知識と技術を備えたトレーナーを目指すコースです。柔道整復師資格を軸とする3コースとは異なり、JPSUスポーツトレーナー、JATAC認定アスレチック・トレーナー、NSCA-CSCS、JSPO-AT、フィットネスクラブ・マネジメント(FCM)技能検定3級など、トレーナー・フィットネス分野の資格取得を中心に目指します。
健康科学科で学ぶ医学、フィジカルトレーニング、栄養、メンタルトレーニングなどの知識を土台に、筋力や持久力の向上、ケガの予防、疲労からの回復、競技や日常生活のパフォーマンス向上につながる指導方法を学びます。一律のメニューを当てはめるのではなく、身体の状態、年齢、運動経験、目的を捉え、一人ひとりに合ったトレーニングやコンディショニングを提案する力を養います。
学内の体育会クラブやSATでの活動、プロスポーツチームでのトレーナー実習、大会・イベントでのサポートなどは、授業で得た知識を現場で検証する機会になります。選手への指導技術に加えて、安全管理、コミュニケーション、フィットネス施設の運営に関する視点も身につけ、競技スポーツから一般の健康・体力づくりまで幅広く支えられるトレーナーを育成します。
健康科学科で取得を目指せる免許・資格
健康科学科では、柔道整復師免許を中心に、トレーナー、健康運動指導、フィットネスなどに関わる資格を目指せます。
資格ごとに履修科目、受験・認定条件、学内選考の有無が異なります。希望する資格が4年間の時間割の中で両立できるかも含め、入学前と履修登録時に条件を確認してください。
柔道整復師国家試験の受験資格
- 所定の養成課程を修めることで、柔道整復師国家試験の受験資格を取得
- 国家試験合格後に免許を申請
2026年に実施された第34回柔道整復師国家試験では、新卒47名が受験し、47名全員が合格しました。
トレーナー・スポーツ関連資格
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- JATAC認定アスレチック・トレーナー
- JPSUスポーツトレーナー
- NSCA-CSCS/NSCA-CPT
- 健康運動指導士/健康運動実践指導者
- 初級パラスポーツ指導員
- 柔道初段
そのほか取得を目指せる資格
- フィットネスクラブ・マネジメント(FCM)技能検定3級
- 第一種衛生管理者
基礎から国家試験・現場実践へつなげる4年間
IPU・環太平洋大学では、国家試験直前の暗記だけに偏らず、基礎医学、柔道整復の実技、臨床実習、トレーナー活動を段階的につなげます。
- 1・2年次:解剖学・生理学などの基礎医学と、柔道整復の基礎知識・技術を定着させる
- 2年次後期:将来像に合わせてコースを選択する
- 3・4年次:専門分野の学び、実習、資格取得、国家試験対策を深める
- 4年次:臨床実習などを通じ、患者やアスリートと向き合う実践力を高める
柔道整復師を目指す学生は、基礎医学と実技を積み上げたうえで国家試験対策に取り組みます。スポーツトレーナーを目指す学生は、資格の学修と並行して、競技現場や測定・分析の経験を重ねます。
医療とスポーツを現場で結びつける環境
授業で得た知識を実践につなげるため、IPU・環太平洋大学では附属施設、スポーツ科学センター、学生トレーナーチームを活用しています。
附属鍼灸整骨院での臨床実習
IPU附属鍼灸整骨院には、体育会各競技の選手をはじめ、ケガの処置やコンディション調整を必要とする人が来院します。健康科学科の学生は、担当者の指導のもとで患者やアスリートと向き合い、施術の補助や実習に取り組みます。
4年次の「臨床実習Ⅳ」では、教員の指導のもと、IPU附属鍼灸整骨院を訪れる患者やアスリートに向き合います。超音波画像観察装置(エコー)や物理療法機器を活用し、身体の状態を捉える方法や施術の考え方を実践的に学びます。
IPUスポーツ科学センター「INSPIRE」
INSPIREは、スポーツ科学の測定・分析を行う研究・実践拠点です。学生は身体や競技特性を客観的なデータで捉え、結果をトレーニングやコンディショニングへ生かす視点を学びます。
健康科学科では、経験や感覚だけに頼らず、症状を的確に把握して類症鑑別につなげるため、EBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づく医療)も重視しています。
学生トレーナーチーム「SAT」
SAT(Strength coach & Athletic Trainer Team)は、スポーツトレーナーを目指す学生で組織するチームです。体育会各クラブなどで、アスリートの傷害対応、競技復帰に向けた支援、コンディショニングに取り組みます。
学外大会・イベントの支援、定期的な勉強会、学生同士の情報交換も行います。授業で学んだテーピング、応急処置、リハビリテーション、トレーニングの知識と技術を、実際の競技現場で磨ける環境です。
卒業後の進路
柔道整復師の資格とトレーナーの専門性を生かし、医療、スポーツ、健康・福祉など幅広い分野を目指せます。
- 接骨院・整骨院での勤務、開業
- 病院・医院
- 医療系企業
- スポーツ・フィットネスクラブ
- プロ・実業団チームのトレーナー
- 福祉・介護施設
- 公務員 など
医療とスポーツの現場で活躍する卒業生
健康科学科を2016年に卒業した今井寛人さんは、株式会社Reto 今井接骨院の院長として地域医療に携わっています。2020年卒業の中尾公則さんは、福岡ソフトバンクホークスのトレーナーとして活動しています(個人事業主として受託)。
柔道整復師として施術に携わる道と、スポーツチームで選手を支える道のどちらにも卒業生が進んでいます。接骨院・整骨院の開業を考えている人は「接骨院・整骨院を開業するまで|柔道整復師の資格取得から独立まで」もご覧ください。
よくある質問
IPU・環太平洋大学 体育学部 健康科学科について、よくある質問に答えます。
IPU・環太平洋大学の健康科学科では、どんな資格を目指せますか?
所定の課程を修めることで柔道整復師国家試験の受験資格を得られるほか、JSPO-AT、JATAC認定アスレチック・トレーナー、NSCA-CSCS、健康運動指導士などを目指せます。資格ごとに履修科目、受験・認定条件、学内選考の有無が異なります。
健康科学科にはどんなコースがありますか?
柔道整復師・スポーツサポートコース、柔道整復師・メディカルサポートコース、柔道整復師・ヘルスサポートコース、ライフパフォーマンス・トレーナーコースの4コースです。コースは2年次後期に選択します。
柔道整復師とJSPO-ATの両方を目指せますか?
健康科学科では両方を目指せます。ただし、柔道整復師免許は所定の課程を修了して国家試験に合格する必要があり、JSPO-ATにも所定の履修・受験・認定条件があります。両資格を希望する場合は、入学後の履修計画と条件を確認してください。
どのような実習・活動環境がありますか?
附属鍼灸整骨院での臨床実習、IPUスポーツ科学センター「INSPIRE」での測定・分析、学生トレーナーチーム「SAT」による体育会各クラブや学外大会での活動があります。臨床、スポーツ科学、競技現場をつなげながら実践力を高めます。
卒業後にはどんな進路がありますか?
接骨院・整骨院、病院・医院、医療系企業、スポーツ・フィットネスクラブ、プロ・実業団チームのトレーナー、福祉・介護施設、公務員などを目指せます。
まとめ
IPU・環太平洋大学 体育学部 健康科学科では、柔道整復師国家試験の受験資格につながる学修と、スポーツトレーナーに必要な知識・技術を4年間で組み合わせます。
4つのコース、附属鍼灸整骨院での臨床実習、INSPIREでの測定・分析、SATによる競技現場での活動を通じて、医療とスポーツの両面から人を支える力を養います。2026年に実施された第34回柔道整復師国家試験では、新卒47名全員が合格しました。
スポーツと医療の両方に関心がある人は、オープンキャンパスでコースの選択時期、希望する資格の履修条件、実習やトレーナー活動への参加方法を確認してください。

