地域の課題をビジネスで解決する力は、大学の授業やゼミで身につけられます。形は主に3つあり、地域企業との産学連携の商品開発、自治体や地域と取り組むまちづくり・地域活性化のプロジェクト、ビジネスプランづくりと起業の準備です。
仕事にする道は起業だけではありません。地元企業での企画・商品開発、地域の金融機関や自治体への就職、家業を継ぐ道もあります。最後にIPU・環太平洋大学での学びを紹介します。
地域の課題をビジネスで解決する3つの道|産学連携の商品開発・地域創生のプロジェクト・起業
国は「地方創生2.0基本構想」(2025年6月閣議決定)で、産業界・行政・大学・金融機関などの連携を重視しています。大学生が地域に関わる形は、次の3つです。
① 地域企業との商品開発(産学連携)
産学連携は、大学と企業が組んで商品や技術をつくることです。授業やゼミでは、地域の特産品や規格外の農産物などを使い、調査、試作、価格と販路の検討、試験販売の順に進めます。販売まで関われるかどうかで、学びの深さが変わります。
② 自治体・地域と取り組むまちづくり・地域活性化(地方創生)
まちづくりや観光、食品ロスなどの課題に、もうけより解決を先に置く「ソーシャルビジネス」の形で取り組みます。自治体が費用を出す制度もあります。たとえば岡山市の「学生イノベーションチャレンジ推進プロジェクト」(令和8年度)は、教職員が代表となる学生3名以上のグループが対象です。
③ 起業を学ぶ:アントレプレナーシップ教育と創業支援の制度
アントレプレナーシップ教育(起業家教育)は、社会の課題を見つけ、仲間と解決に挑む力を育てる教育です。
文部科学省は「全国アントレプレナーシップ人材育成プログラム」で、大学生・高専生などが受講料無料で受けられる学外講座を開いています。中国・四国エリアにも拠点があります。
市区町村が行う「特定創業支援等事業」で経営や財務を学ぶと、その市区町村で会社をつくるときの税金(登録免許税)が軽くなります。日本政策金融公庫の創業融資は、35歳未満なら特別利率の対象です。
地域の課題をビジネスで解決する3つの道
| ① 産学連携の商品開発 | ② まちづくり・地域活性化 | ③ 起業 | |
|---|---|---|---|
| 学生がすること | 調査・企画・価格と販路の検討・販売 | 課題の調査・企画・イベントの運営 | 収支を含む事業計画・資金の準備 |
| 使える仕組みの例 | 商談会・ビジネス交流会 | 自治体の学生向け補助(岡山市は対象経費の全額、上限30万円) | 特定創業支援等事業、公庫の創業融資 |
| 始められる時期 | 1年次から(授業・ゼミ) | 学年の条件なし。春に申請 | 1・2年次から(コンテスト)。開業は卒業後でもよい |
高校から大学4年間の準備|いつ、何をするか
高校で課題を見つけ、大学で事業計画の型を学び、企業や地域と組んで形にする、という順に進めます。
高校のうちに
地元のイベントや商店街、探究学習で「困っている人」「余っている物」を1つ見つけ、その課題を自分の言葉で書いてみることが出発点です。日本政策金融公庫の「高校生ビジネスプラン・グランプリ」は、全国の高校生・高専生(1〜3年生)が対象です。次の回の日程は、公庫のページで確かめられます。
1・2年次:課題の見つけ方とビジネスプランの型を身につける
チームで課題を調べ、企画を提案し、意見を受けて直す経験(PBL=課題解決型学習)を一度はしておきましょう。事業計画の基本は、「だれの、どんな困りごとを、いくらで、どう届けるか」と、その収支を考えることです。
できたプランはコンテストに出して外部の評価を受けましょう。会計とマーケティングの基礎科目も、早めに取っておくと役立ちます。
3・4年次:企業や地域と組んで、形にして売る
ゼミで企業・自治体・高校などと組み、試作から販売まで進めます。売るときは、お客さんの反応や売上を数字で記録しておきます。
岡山市の学生向け補助事業なら、春に申請し、秋に中間報告、2月に報告会という流れです。どの進路でも、「企画を形にして結果を出した経験」は、就職活動などで自分を説明する材料になります。
IPU・環太平洋大学 現代経営学科で経験できること|岡山・中四国の企業や自治体との学び
IPU・環太平洋大学 経済経営学部 現代経営学科(岡山キャンパス・通学課程)では、岡山・香川の企業や高校、岡山市と組んで学べます。
岡山の地域と組む4年間の学びの流れ
IPU・環太平洋大学は2021年に岡山市と包括連携協定を結んでいます。現代経営学科では、社会や地域の課題に取り組む授業を1年次から用意しています。
1年次の「プロジェクト・ゼロ」では、2026年度は学生アシスタントを含む9カ国の35名が国際協力団体と組み、「おかやまSDGsフェア2026」に出展しました。
地域活性化やまちづくりなどの事業プランを学生が提案する「ビジネスプランコンテスト」は、学びの流れの中で2年次の1月に行われます。2026年3月に結果を公表した回には、個人・グループから13件の応募があり、6チームが本選に進みました。
現代経営学科では2026年から4学期制になりました。3年次の第3クォーターにある8週間の実習期間(「経営学部で長期インターンシップをするには」で紹介)は、企画した事業の実践にも使えます。
公務員コースには、地域活性化に取り組む首長や経営者の講義があります(「経営学部・経済学部から市役所・県庁の公務員を目指すには」で紹介)。
地域の企業・高校と商品化し、販売した実例(岡山・香川)
香川県の高校・地域企業と開発した「ハイスクールマフィン」は、高松市の物産館で販売されました。2026年3月には、農林水産省「第2回みどり戦略学生チャレンジ」の中国四国ブロックで優秀賞を受けています。
2025年7月には、ゼミの学生と会計コースの1年生が、岡山県内の高校の農業科と組んで、規格外のとうもろこしから「とうもろこしジェラート」を作り、高校生と一緒にイベントで販売しました。
「連島れんこん」ジェラートの商品化で会計コースの1年生が担った役割は「商業高校の簿記資格を大学の会計で生かすには」で説明しています。
授業「ブランド戦略論」から生まれた「IPUジビエ」は、おかやましんきんSDGsアワード2025スクール部門で最優秀賞を受けました。ブランドマネジメントアワードでは、2022年から4年連続でファイナリストに選ばれています。



岡山市の補助事業への採択と、岡山で働きたい人の奨学金
岡山市の学生イノベーションチャレンジでは、IPU・環太平洋大学のグループが令和7年度・令和8年度とも6件ずつ採択されました。令和8年度は、6件のうち5件が現代経営学科のゼミによる取り組みです。
2027年度入試の「岡山地域活性支援奨学金」は、国公立大学と併願し、岡山県内に住んでいて県内での就職を希望する人が対象です。小論文の得点率が80%以上なら授業料が半額免除になり、80%未満でも納付期限の猶予を受けられます。授業料を減免するほかの奨学金とは併用できません(入学金の免除とは併用できます)。
よくある質問
子どもが「地元で起業したい」と言っています。大学に行く意味はありますか?
起業は大学に行かなくてもでき、市区町村の創業支援や日本政策金融公庫の融資はだれでも相談できます。
大学で得られるのは、事業計画と会計の基礎、企業や自治体と組んで「売れるか」を小さく試す機会、失敗してもやり直せる環境です。IPU・環太平洋大学 現代経営学科は、目指す進路に「企業人・起業家・事業継承者」を挙げています。
地域創生系の学部と経営系の学部、どちらで学べばいいですか?
地域創生・地域政策系の学部は、政策・観光・福祉まで地域全体を扱います。経営系の学部で中心になるのは、商品開発に加えて、価格・販路・収支・ブランドなど、事業として成り立たせる力です。地域の課題を「ビジネスで」解決したいなら、地域と組む授業がある経営系の学科も選択肢になります。
まとめ
地域の課題をビジネスで解決する経験は、「産学連携の商品開発」「まちづくり・地域活性化のプロジェクト」「起業の準備」の3つの形で積めます。
学科を選ぶときは、何年次に、だれと、どこまで(企画だけか、販売や事業化までか)取り組むのか、自治体や企業とつながる仕組みがあるかを確かめてください。IPU・環太平洋大学 現代経営学科の4年間の流れと岡山・香川での実例は、オープンキャンパスや学科ページで確かめられます。

