戦略でチームを勝利へ導く、サッカー部の頭脳!アナリスト 羽山温音さん(1年)に密着!

コーナーキックからのボールが中央の選手に渡り、強烈なシュートで〝ズバン!〟と相手ゴールを揺らします。次の瞬間、ピッチの全メンバーが、ベンチ前に立つアナリストの羽山温音(はると)さんに向かって、『やったな!』という感謝の視線を送ります。
羽山さんは「快感です。点が入った時は、みんながこっちを向いてくれます。相手に守られてしまって、『攻めてはいるけれど、なかなかシュートが打てないなあ』というような時に、ちょっとしたコーナーキックで先制できたりするとうれしいですね。」と自身の作戦で点が入った喜びを語ります。

目次

アナリスト転向により、チームの得点力が飛躍的に上昇

羽山温音さん
次世代教育学部 教育経営学科1年
私立崇徳高等学校出身
サッカー部 アナリスト

2022年度のIPU・環太平洋大学サッカー部では、コーナーキック約6本に1回の割合で得点が生まれました。その理由は、4月にゴールキーパー(GK)としてサッカー部に入部した羽山さんが、6月からセットプレーのパターンなどを考案するアナリストに転向したからです。そこから、得点力が飛躍的に伸びました。サッカー部の桂秀樹監督は「点を取るのが難しい試合になりそうな時に、彼が考案したパターンのコーナーキックから先制点が入って、試合運びが楽になったという試合もありました」と振り返ります。

「彼が考案したパターンのコーナーキックから先制点が入って、試合運びが楽になった」と羽山さんを評価する桂監督

羽山さん IPUは全国大会で関東や関西の強いチームを破るところを目標としているので、それを実現するための1つの要素が、絶対にセットプレーだと思っています。セットプレーを極めることで、目標が実現できるという試合が出てくることを確信しています。

アナリストとして、戦略面からチームを支えることが自身のプラスに

羽山さんは、サンフレッチェ広島の元日本代表GK下田崇氏(現日本代表GKコーチ)に憧れ、小学3年生から高校3年生までGKを続けてきました。中学時代にはメキシコに留学し、強豪チーム・クラブレオンのジュニアユースで2年間プレー。高校時代は広島県の崇徳高校でプレーし、3年生の時のインターハイ広島県予選で決勝まで進出し、IPU・環太平洋大学に入学しました。30人以上のGKが所属する大学でも、いきなりトップチームで選手登録されるなど、将来の正GKも有望視されていました。

羽山さん アナリストを目指すきっかけは、5月の試合の前に、先輩から作戦ボードを渡されて「セットプレーを組んでみて」と言われたことでした。トップチームに帯同はしていましたが、試合に関われていませんでしたし、『チームのためになるなら、1度かっちりやってみよう』と思い、始めました。その後の天皇杯もセットプレーの考案を任されましたが、優勝したヴァンフォーレ甲府にセットプレーで先制点を決められたのも含めて、負けたのが悔しくて、『じゃあ本気でアナリストをやってやろう』という気持ちになりました。選手としてチャレンジするために入学したので、正直に言いますと未練はありました。ただ、将来的な自分を見つめた時に、アナリストの道を選んだほうが、自分にとってはプラスになると思いました。

アナリストとして、戦略面からチームを支え勝利へ導く

現在の羽山さんのアナリストとしての仕事は、主に次の3つです。

(1)GPSを使った選手の走行距離、スプリント数の管理と、ボールタッチ回数のカウント(主に手作業)
(2)ゴール確率の高いセットプレーの考案
(3)未来の対戦相手チームのスカウティング(戦力分析)


羽山さん 関東には50人以上アナリストがいる大学もあります。いずれは人数を増やして、仕事を任せていきたいとは思いますが、今は一通り自分がやって、まずはアナリスト班の土台を作らないといけないと思っています。実際にセットプレーから得点の生まれる確率が高くなっていますし、試合前のミーティングでは全員がしっかりと話を聞いてくれるようになりました。試合後に「今日の俺のパフォーマンスはどうだった?」と、GPSのデータや、ボールタッチ数を聞きにくる選手も増えましたね。交代直前の選手のパフォーマンスが落ちて、交代して入った選手の数値がとても良ければ、その交代が有効だったことになりますし、逆に悪いとあまり効果的ではなかったことになります。パフォーマンスの数値が悪化したことでトップチームから落ちる選手が出て、複雑な思いをすることもあります。

知識・スキルを吸収し、アナリストとしてさらにスキルアップを目指す

疑問がわいたり、わからないことが出てきた時には、岐阜FCやFC徳島で主にセットプレーを指導する山内智裕氏ら専門家の連絡先を自ら調べ、ZOOMなどで教えを乞うなど自主的に活動。メキシコ留学時代の古巣チームであるクラブレオンの下部組織が広島に親善試合のため訪れた時には、スペイン語の通訳としてチームに帯同。旧知のメキシコ人コーチの宿舎に押しかけて、戦略を吸収しました。負けてしまった天皇杯でも、試合後にヴァンフォーレ甲府のFWウィリアン・リラ選手を追いかけ、IPU・環太平洋大学と対戦した感想を聞きました。

羽山さん まだアナリストへの転向を決心していない時期で、1ー5で負けてしまったヴァンフォーレ甲府とのゲームでしたが、ウィリアン選手に「このチームは、ゲームプランニングがしっかりしているチームなんだね。もっとゴールを決められてしまうかもしれないと思った。やばかったよ」と聞いた時は、うれしかったですね。今はとにかくコミュニティを広げまくって、いろんな人から知識、スキルを吸収しています。将来は、チームの総得点の4割がセットプレーから生まれるようにしたい。4年生になった時には、国内のどのカテゴリーのクラブでもアナリストとして戦える技術を身につけて、卒業後は、子どものころから大好きだったJリーグに関わる仕事に携わっていきたいと思っています。

メキシコ留学時代の古巣チームの通訳としてチームに帯同するなど、
多くの知識・スキルを吸収してアナリストとしてスキルアップを目指す羽山さん

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