【スポーツ科学センター】研究協力アプリ「ME-FULLNESS」による女性アスリート支援研究が国際学術誌に掲載
IPUスポーツ科学センターでは「科学でアスリートを強くする」をコンセプトに、スポーツ科学サポートを行っています。
この度、女性アスリート支援プロジェクトの研究成果が国際学術雑誌のScientific Reportsに掲載されましたのでご報告いたします。
論文のタイトルは「Digital support for female students in physical education universities in Japan」です。
(DOI: 10.1038/s41598-025-98921-0)
この研究は、本学女子学生アスリートを対象に、これまでにないメンタルヘルスケアの支援方法としてスマートフォンアプリ「ME-FULLNESS」を活用し、その効果を検証したものになります。なお、この研究はIPU環太平洋大学,東北大学,秋田大学ならびにPOLA化成工業株式会社の共同研究契約に基づき実施しました。(2023年10月1日締結)
本論文の研究結果を簡単に紹介します。
はじめに、「ME-FULLNESS」は、スマートフォンのカメラで取得した顔の情報を分析することで、ユーザーの心身の状態が推定され、ユーザー自身が今の心身の状態を把握することができるアプリです。さらに、1人ひとりの分析結果(心身の状態)に基づき、振動や音楽によるリラックスコンテンツが提案され、メンタルヘルスケアが実践できるものとなります。

ME-FULLNESS application. (A) Estimation of psychological state based on facial information; (B) Flow of ME-FULLNESS app; (C) Off-time and on-time modes in the ME-FULLNESS app; (D) Details of the ME-FULLNESS app’s off-time mode.
アプリの使用前と1か月後の心理調査を比較した結果、使用群(76名)では、抑うつ症状(p=0.002)、不安症状(p=0.000)、ストレス(p=0.000)、不眠(p = 0.002)、月経前症候群の重症度(p=0.000)、レジリエンススコア(p=0.000)に有意な改善がみられました。アプリの効果量をみると、不眠症、PMSの重症度、レジリエンスについては有意であるものの緩やかであり、所属している部活の方が強く影響することが示唆される結果となりました。
本研究は、これまで実施例がほとんどなかった女子学生アスリートに対するデジタル介入によるメンタルヘルスケアの可能性を示すものとなりました。引き続き、アスリートの健やかな心身の維持向上に向けた研究を進めていきたいと考えています。