スポーツ庁長官・室伏広治氏が環太平洋大学で講演「スポーツで夢を掴む」
IPU・環太平洋大学において、スポーツ庁長官の室伏広治氏(2004年アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリスト)による「スポーツで夢を掴む」と題した講演が行われました。この講演は、体育学部・競技スポーツ科学科の設置を記念して開催されました。
講演の冒頭で、本学の行動指針である五訓が唱和されたことを受け、室伏長官は五訓のひとつである「感謝」の大切さについて言及されました。人だけでなく、道具や学べる環境にも感謝の気持ちを持つことの重要性が強調されました。
講演では、スポーツ庁が現在取り組んでいる「多様な主体におけるスポーツの機会創出」について説明があり、年齢や障害に関わらずスポーツを行える環境を整えることの重要性が語られました。室伏長官は、日本の中高生が過酷な練習で故障するケースの多さを指摘し、スキャモン発育曲線を用いて、年代に応じた無理のない練習の重要性を訴えました。また、息長くスポーツを楽しむ環境を構築する必要性を強調しました。
なかでも、「練習は裏切る」という事例として、ご自身の父である重信氏のエピソードが印象的でした。重信氏は1日12時間の練習を行ってもなお成果が出なかったことから、当時最新であった動作解析を用いてフォームを見直したところ、スランプを克服することができたということでした。つまり、どれだけ多くの練習をしても、正しいフォームで行わなければその努力は実を結ばないという意味です。また、自身のボディーイメージを持つ大切さについても言及されるとともに、「父親の指導のおかげで成長できた」と振り返っておられました。
質疑応答のセッションでは、学生2名との応答が行われました。
室伏長官の講演を聴講した学生から、次のようなコメントが寄せられました。
鉄人と呼ばれる室伏長官でもスランプと向き合っていた時期があったことを初めて知りました。トレーニングのポイントやどこに効いているかなどをしっかり理解して、トレーニングの質を上げることが大切であると、改めて感じました。
いろいろな伝説を残した過去の人ではなく、今現在もスポーツを広めようと頑張ってくださっている長官のお話を聞くことができて、とても有意義でした。自分も頑張ろうと思いました。
約300人のIPU生や高校生が講演を聴講し、岡山県でのスポーツ振興による地域活性化のヒントを得る機会となりました。地方でスポーツを学び、スポーツ振興に取り組む学生や高校生たちに勇気と元気を与える講演となりました。
講演後は、トップガン(ウエイト場)において、陸上部員60名と交流し、メンタル面の強化や効果的なトレーニング方法についての質問に応じてくださいました。室伏長官自らが実演を行ってくださったことで、実践的な学びの場となりました。
IPU・環太平洋大学は、今後もこのような有意義な学びの機会を学生たちに提供してまいります。