【体育学部】ドイツ最前線の指導者が語る『自律』と『スポーツの価値』― 中野吉之伴氏 特別講義を開催
2026年5月25日、IPU環太平洋大学 体育学部にて、ドイツで25年以上にわたりサッカー指導者およびスポーツジャーナリストとして活動する中野吉之伴氏による特別講義が行われました。中野氏は、ドイツサッカー協会公認のUEFA-A級ライセンスを保持し、フライブルガーFC U16の監督を務めるなど、現地の育成最前線を知るエキスパートです。

今回の講義は、就職活動を控えた3年生対象の「アスリートキャリアⅢ」と、入学したばかりの1年生対象の「アスリートキャリアⅠ」の2つの枠で実施されました。世界基準の視点から語られる「キャリアの築き方」や「スポーツの価値」に、学生たちは真剣な面持ちで耳を傾けていました。
2限:アスリートキャリアⅢ(3年生対象)
テーマ:自分の道を自分で切り拓くキャリアアップ術
就職活動という人生の転換期に立つ3年生に対し、中野氏は「一般的な就活スキル」ではなく、「自分の軸で生きる」ことの重要性を説きました。
人生の優先順位を考える「ガラス瓶の教訓」 中野氏は、大きな石、砂利、砂、そしてビールを順に詰めるガラス瓶の例え話を用い、人生において「最も大切なもの(大きな石)」を最初に入れない限り、それは二度と入らなくなるという教訓を伝えました。健康、家族、仲間、あるいは生涯をかけるべき仕事など、自分にとっての「大きな石」を見極めることが、納得感のあるキャリアの第一歩であると語りました。
「自ら道を切り拓く力(自律)」
「他人に答えを求めるような人材は、これからの社会では通用しない」と厳しい現実を示しつつ、ガリレオ・ガリレイの言葉を引用して、成長とは自らの発見によってのみ成し遂げられると強調しました。中野氏自身、ドイツへ渡った当初は住居も決まっていない状態から、自ら電話をかけ、道を切り拓いてきた経験を明かしました。
「自由と責任」
中野氏は「自由とは何をやってもいいことではなく、多くの選択肢の中から自ら意思決定することである」と述べ、その結果を誰のせいにもせず自分自身で担う「責任」がセットになって初めて、人は成長できると説きました。
3限:アスリートキャリアⅠ(1年生対象)
テーマ:文化としてのスポーツと多様性への視座
1年生の講義では、ドイツの「スポーツクラブ文化」を事例に、世界のスタンダードなスポーツの見方や多様性について刺激を与えました。
スポーツは「人生で一番大切ではないものの中で、一番大切なもの」 ドイツにおいてスポーツは単なる競技ではなく、余暇(ヨカ)を楽しみ、心身をリフレッシュさせ、世代を超えたコミュニティを作るための「文化」として根付いています-。中野氏は、ドイツでは「スポーツをしていれば一般常識が身につく」と言われるほど、スポーツが社会の一部としてリスペクトされている現状を伝えました。
多様性とリスペクト ドイツの育成現場では、トルコ、チュニジア、レバノンなど、異なるルーツを持つ子供たちが同じチームでプレーしています。中野氏は、宗教や習慣の「違い」を否定するのではなく、まず受け入れる(需要力)ことから多様性が始まると述べ、「潜入感やフィルターを外して相手を見る」ことの大切さを、多国籍な学生が在籍する本学のクラスに語りかけました。
「勝利至上主義」を超えたスポーツの真価 ドイツでは、小学生年代の全国大会が存在しません,。これは「勝つこと」よりも「スポーツを楽しみ、生涯続けること」や「子供の基本的人権を守ること」が優先されるためです,,。中野氏は、スポーツを通じて「失敗を恐れずチャレンジし、立ち上がる力」を養うことこそが、本質的な成長に繋がるとエールを送りました。
【本学の魅力】
環太平洋大学 体育学部の授業では、中野吉之伴氏のような世界を舞台に活躍する指導者や専門家を講師に招き、最先端の知見に触れる機会を豊富に提供しています。中野氏は、岡崎慎司氏(本学客員教授・サッカー部アンバサダー)とも親交が深く、世界基準の育成・教育ネットワークを学生に還元しています。
スポーツの技術だけでなく、その背景にある文化や哲学を学ぶことで、学生たちは単なるアスリートとしてではなく、「自律した一人の大人」として世界へ羽ばたく準備を整えています。






