学生日本一から、世界を目指すハンマー投げ選手へ。室伏広治さんとの出会いで見つけた“新たな成長の鍵”とは?

今回の対談ゲストは、本学大学院でスポーツ科学を学びながら、陸上競技・ハンマー投げで活躍する本学陸上競技部・大学院体育学研究科2年の坂梨 航琉(さかなし わたる)さんです。
高校から競技を始め、着実に実力を伸ばしてきた坂梨さん。現在は日本学生個人選手権で優勝を果たし、日本トップレベルの選手たちと競い合いながら、さらなる飛躍を目指しています。
競技との出会いから大学院での研究、そして今後の目標まで、お話を伺いました。
ハンマー投げとの出会いと競技への思い
大橋節子学長(以下、大橋) ハンマー投げはいつ頃から始めたのですか?
坂梨さん(以下、坂梨) 高校1年生からです。中学校では短距離と砲丸投げをしていました。
高校の先生から「身長もあるし、ハンマー投げをやってみたら強くなれるのでは」と勧めていただいたのがきっかけです。
大橋 最初から日本一を目指していたの?
坂梨 最初はそこまで考えていませんでした。
でも高校1年生の時に高校総体で先輩たちの活躍を見て、「自分も日本一になりたい」と思うようになりました。
大橋 高校入学時はどのくらいの体格だったの?
坂梨 身長183cm、体重60kgくらいでした。今は186cmで120kgあります。
大橋 倍近くになったのね。ハンマー投げでは体づくりも大切なんですね。
坂梨 かなり重要だと思います。
学生日本一へ。成長を支えた体づくりと挑戦
大橋 ハンマー投げの重さはどれくらいあるのですか?
坂梨 7.26kgです。ボウリングの一番重い球と同じ重さになります。
大橋 世界トップレベルになるとどれくらい投げるの?
坂梨 80mを超えてきます。オリンピックの優勝レベルだと84m前後ですね。
大橋 坂梨さんは日本学生個人選手権で優勝されましたが、次の目標は?
坂梨 まずは室伏広治さんが持つ日本学生記録73m82cmの更新です。
そして日本選手権で上位に入り、アジア大会や世界の舞台で戦える選手になりたいと思っています。
室伏広治さんとの出会いで変わったトレーニング
大橋 以前、室伏広治さんから直接アドバイスをいただく機会がありましたね。
坂梨 はい。とても大きな転機になりました。それまでの自分は重い重量を何度も持ち上げるトレーニングを中心に行っていました。しかし室伏さんからは「軽いものをいかに速く動かすか」という考え方を教えていただきました。
大橋 瞬発力ということですね。
坂梨 はい。瞬発力です。また、ハンマー投げでは回転中に非常に大きな遠心力がかかるため、それに耐える力も必要になります。
大橋 すぐに結果が出たのですか?
坂梨 すぐではありませんでしたが、継続することで大学院進学後に記録が伸び、全国大会でメダルも獲得できました。

大学院で学ぶ「スポーツを科学する」ということ
大橋 大学院に進学した理由は何だったのでしょう?
坂梨 競技を続けたいという気持ちもありましたが、室伏さんの話を聞いて、自分がまだ知らないことがたくさんあると感じたからです。もっとハンマー投げを深く学びたいと思いました。
現在は佐野淳先生のもとでスポーツ運動学を学んでいます。
大橋 どのような学びがありますか?
坂梨 以前は動画を見てフォームばかりを意識していました。でも今は「感覚」を大切にしています。
自分自身が競技中に何を感じているのか。その感覚から生まれる動きを理解することで、競技の安定性も増し、記録向上にもつながっています。
大橋 スポーツを科学するということは、データだけを見ることではないのですね。
坂梨 そう思います。データは大切ですが、それだけでは競技はできません。最終的には人が動く競技なので、人が感じる感覚を大切にしなければならないと思っています。
アジア、そして世界へ。これからの目標
大橋 アジア大会出場へ向けてはどのような道のりになりますか?
坂梨 まずは日本選手権です。上位に入るためには70mを超える記録が必要になります。
昨年は67m54cmが自己ベストでしたが、この冬に積み重ねてきたトレーニングには手応えがあります。今年は70m突破を目指しています。
大橋 一歩ずつ積み重ねながら、世界を目指していくのですね。
坂梨 はい。まずは日本で戦える選手になり、その先の世界も目指したいと思っています。

高校生・後輩たちへのメッセージ
大橋 最後に、高校生や後輩たちへメッセージをお願いします。
坂梨 まずは競技を楽しんでほしいと思います。楽しめるからこそ続けられますし、成長できます。
また、結果が出なくて苦しい時期もあると思いますが、自分も全国大会で下位に沈んでいた時期がありました。それでも競技について考え続け、努力を積み重ねたことで日本一になることができました。
自分の競技と真剣に向き合い、コツコツ努力を続けてほしいと思います。
大橋 競技でも研究でも、さらに成長されることを期待しています。これからの活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

坂梨 航琉さん
環太平洋大学大学院 体育学研究科 2年
(熊本国府高等学校 出身)
高校1年生からハンマー投げを始める。高校時代は全国トップレベルには届かなかったものの、競技への強い情熱と高い将来性を評価され、本学へ進学。大学では陸上競技部投擲ブロックに所属し、豊里健コーチの指導のもと競技力向上に励んだ。
入学当初は約60kgだった体重を、スポーツ栄養学の実践と計画的なトレーニングによって120kgまで増量。大学院では運動モルフォロギー(運動形態学)を研究しながら、競技と研究の両面からハンマー投げを追究している。
2026年には日本学生陸上競技個人選手権大会 男子ハンマー投げで66m99を記録し優勝。創部以来初となる学生日本一に輝いた。現在は日本学生記録(73m82)更新や日本選手権での上位進出、さらには世界の舞台での活躍を目標に挑戦を続けている。









