『通えば通うほど、夢が近づく“聖地”』先生を目指す学生の居場所となる「創志学館」とは?
小高い丘の一番上にある教育棟の裏手に、入口に「創志学館」という看板のかけられた2階建ての建物がある。入口を入るとすぐに談話室があり、学生たちが参考書を照らし合わせたりしながら、お互いにわからない問題を教え合ったりする光景が目に入る。その談話室を真っ直ぐ進んだ先の部屋には、将来的に〝先生〟になることを目指す学生が集まる大志会の本部長であり、国家資格キャリアコンサルタントの岩田清隆准教授が控える。建物のその他の部分は、1階も2階も、それぞれ机とイスが80組ほど並ぶ自習室になっている。とはいえ、ここはただの自習室ではない。通えば通うほど、夢が近づく、いわば〝聖地〟だ。
通えば通うほど、夢が近づく場所「創志学館」
学生たちの精神的な支えとして
岩田准教授 今年も4月から7月まで約4ヶ月間、創志学館の利用キャンペーンを行いました。この期間に規定の回数(今年は59日)ここに来て自習をした学生には、ドイツ製の多色ペンを渡しました。ボールペンをもらった学生は、全員教員採用試験に合格しました。4年ぐらい前には、仲良し5人組が、毎日ずらっと並んで自習していたことがあって、その子たちは4人が小学校の先生になり、1人が東京で体育の先生になりました。高校の体育教師は、どの都道府県も倍率が高くて難しいのに、最後にきっちり夢を実現しました。5人ともサッカー部だったので、朝7時に全員でここに来て、すぐに朝練に行って、9時からの授業の合間にもここで勉強する。そして夕方の部活が終わってから、またここに来て、夜10時の閉館まで勉強を続けていました。創志学館には、そんなエピソードがいっぱいあります。
「自分の居場所がある」ということが励みに
3年生が就職試験の準備に入る秋には「おなかが空くでしょう」ということで、食堂にお願いして、おにぎりと味噌汁を用意したり、購買部で購入したパンやおにぎりを、自習中の学生に配布したりすることもある。岩田准教授は、国語、数学、理科、社会、SPIなど、就職試験に必要なほとんどの教養・専門科目に関する質問に対応。また、進路相談にも乗り、不安の中で学習を進める学生にとっての、精神的な支えにもなっている。
岩田准教授 実務的な支援と精神的な支援の両方が私の仕事です。実務的な部分でいえば、最近はどの自治体の教員採用試験も時事問題で世界遺産について問われることが多い。そうした傾向も伝えたりします。精神的な面では、例えば「最先端の教育を試してみたい」というような野心がある学生には「教育が一番進んでいる首都圏の自治体を受験したらどうだ。若いうちに東京や神奈川で先生を経験して、そこで学んだものを将来、故郷に持ち帰ってもいいんじゃないか」といったアドバイスをします。またもちろん、不合格で落ち込む学生が全くいないわけではありませんから、「気にするな。君が受けた自治体の試験ではそういうこともある。違う自治体でもう1度頑張ってみよう」と、背中を押してあげることもあります。
一言で言うと、「自分の夢を支えてくれた」のがこの場所です
広島県の小学校教員採用試験に合格した西田美月さんは、3年秋に2階の自習室に、指定席をもらった。今年4月からのキャンペーンでは、通常59回の利用で〝コンプリート〟になるところを「2回コンプリートする」と決め、7月までほぼ毎日創志学館に通い詰めた。朝7時から9時の授業開始まで利用し、4年前のサッカー部の学生たちと同様に、授業の合間、そして部活動のあとにも、夜10時まで自習を続けた。日中に部活動がある週末も、トレーニングが終われば指定席に戻り、参考書や問題集を開いた。
西田 美月(にしだ みづき)さん
次世代教育学部教育経営学科4年、私立高知中央高等学校出身
内定先:広島県 小学校教諭
西田さん 入学前のオープンキャンパスの時に「成績優秀な人は、指定席をもらえるよ」といわれて、「指定席をもらえるように大学生活を頑張ってやろう」と、ずっと学生時代のモチベーションにしてきた場所でした。自分の席があって、荷物も置けるし、「自分の居場所がある」ということが励みでした。3年生で指定席をもらったあとは、教員採用試験にどうしても合格したくて、誰よりも学校に来て勉強しようと思って使いました。一言で言うと、「自分の夢を支えてくれた」のがこの場所です。後輩たちも、それぞれ自分の目標があると思いますので、その目標をかなえるために、積極的に使ってほしいですね。周りにはたくさんの友だちもいますから、励まし合いながら、一緒に夢をかなえてほしいと思います。
広島県の小学校教員採用試験に合格
現在は4年生が就職活動の最終盤を迎え、3年生が自習室の主役に変わりつつある。創志学館の新たな住人もまた、来夏の本番で最高の結果を出してくれるはずだ。