ブランドマネジメントアワード2025で2プロジェクト受賞-サステナブルブランドプロジェクトが4年連続ファイナリストに-
2025年11月1日(土)、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会主催「ブランドマネジメントアワード2025」が東京有楽町朝日ホールで開催され、IPU環太平洋大学サステナブルブランドプロジェクト(担当:扇野睦巳特任准教授)が取り組む2つのプロジェクトが受賞しました。ファイナリストとしての受賞は2022年の「IPUジビエ」、2023年の「IPUエシカルアスリート」、2024年の「IPUカルチャー」に続いて、4年連続となります。

SDGs審査員特別賞
岡山市から始める岡山県投票率日本一プロジェクト
高校生と大学生が投票で描く岡山の未来「投票デビューおかやま2025」
「投票デビューおかやま2025」は、岡山の若者投票率の低さを課題として捉えた学生の問題意識から始まり、岡山県立東岡山工業高等学校との高大連携で進めてきた社会参画型プロジェクトです。
本取り組みは、ブランド・マネージャー認定協会の公式サイトでも事例として紹介されています。
本プロジェクトでは、
- 若者の価値観に合わせたメッセージデザイン(ペルソナ分析)
- PBL型ワークショップによる「未来の岡山をデザインする体験」
- 投票を「義務」ではなく「未来を描く行動」へとポジティブに転換するブランディング
を実施し、若者の社会参画を促す新しいアプローチが高く評価され、SDGs審査員特別賞を受賞しました。
登壇したのは、現代経営学科3年・扇野ゼミ所属の水嶋悠斗さんと、岡山県立東岡山工業高等学校 機電子科1年の岡本希望さんです。岡本さんはブランド3級資格の取得者であり、登壇者としても最年少でしたが、堂々としたプレゼンテーションで会場の注目を集めました。


また、ブランドマネジメントアワードの前身である2015年からの「ブランディング事例コンテスト」を通じても、高校と大学による高大連携チームがファイナリストに選出されたのは今回が初めてであり、歴史的な一歩となりました。

参加学生のコメント
経済経営学部 現代経営学科3年 水嶋 悠斗
今回、ブランドマネジメントアワードに登壇者として初めて参加し、これまでに経験したことのない大きな達成感を味わうことができました。また、他の登壇者のプレゼンテーションを拝見する中で、多くの刺激を受け、学びの幅が大きく広がりました。私たちは、扇野ゼミで取り組んできたプロジェクトの内容を整理し、活動の成果として発表できる形にまとめ上げました。連日の準備でスケジュール的にも厳しい日々が続きましたが、扇野先生のご指導のもと、ゼミ生全員で力を合わせて最後までやり切ることができました。
プレゼン練習や資料修正を何度も重ね、少しでも完成度を高めようと努力したプロセスそのものが、非常に貴重な経験になりました。本番では緊張もありましたが、仲間と共に作り上げたプレゼンを堂々と披露できたことを心から楽しめました。
他の登壇者の発表はどれもレベルが高く、特に大賞を受賞された方のプレゼンテーションは、話し方の滑らかさ、資料の分かりやすさ、構成の巧みさなど、どれも圧倒的でした。自分たちに不足している点を見つめ直すきっかけとなり、今後の成長に必ずつながると実感しています。最後に、このプロジェクトに関わってくださったすべての皆さまへの感謝の気持ちを忘れず、今回の経験を糧に、これからもさらに成長できるよう努力を続けていきたいと思います。
経済経営学部 現代経営学科3年 柴田 咲
私は今回、ブランドマネジメントアワードに観客として参加させていただき、とても貴重な経験を得ることができました。ゼミの仲間の発表はもちろん、他の登壇者のプレゼンテーションもどれも参考になるものばかりで、学びの多い一日でした。特に印象に残ったのは、建設業の企業をマネジメントした事例です。
社内でバラバラだった意見や方向性を、家族愛を軸に一つへまとめ上げ、企業としての進むべき道を定めていったプロセスがとても心に残りました。また、営業をしない“営業”として、保育園へ無償で絵本を配布したり、広告要素のない看板を地域に設置したりと、「まずは地域に知ってもらう」という発想で取り組んだ事例は、仕事につながる流れまで含めてとても面白いと感じました。ユニクロのステテコを扱った事例では、商品のリブランディングではなく、カテゴリーそのものの捉え直しによって価値を再構築するという視点に驚きました。商品そのものではなく、さらに手前の「属性」や「カテゴリー」に目を向けることで、お客様の持つイメージそのものを変えていくという発想に感銘を受け、自分も今後の活動で意識していきたいと思いました。
基調講演では「キャッチーなものを一つ持っておくと良い」「賛否両論こそチャンスにつながる」など、ブランドをマネジメントするうえで大切な考え方も学ぶことができ、とても充実した時間となりました。
このような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。今回の学びをゼミ活動に活かし、より大きなプロジェクトに成長させていきます。
経済経営学部 現代経営学科2年 赤﨑 凛
私は今回、ブランドマネジメントアワードに観客として参加させていただきましたが、非常に多くの学びと刺激を得ることができました。全国から選ばれた登壇者による発表は、これまで経験してきた岡山県内のアワードと比べても内容の濃さや完成度が圧倒的で、ブランディングの奥深さを改めて実感しました。特に印象に残ったのは、ユニクロのステテコに関するマーケティング事例です。一度は会社から見放されかけた商品を、ブランドとして再構築することで新しい価値を生み出した取り組みには、多くの示唆がありました。なかでも、「守るべきものは守り、変えるべきものは変える」という考え方が心に残っています。伝統的な要素を時代に合わせて進化させることは重要ですが、基礎となる部分まで変えてしまえば、それは“進化”ではなく別物の“創造”になってしまうという指摘は、伝統的な製品を扱う上で非常に重要な視点だと感じました。また、地域に根ざした“営業をしない建築会社”のブランディングや、高校生とともにコンビニをつくり上げた事例など、ブランディングの切り口が多様であることにも驚かされました。その一方で、こうした強力なプロフェッショナルが集まる場において、IPUの「投票デビューおかやま2025」プロジェクトは、“投票×ブランディング”という独自の切り口から注目を集めていたように感じます。発表に参加した東岡工の岡本希望さんも、高校生とは思えない落ち着いたプレゼンテーションで、会場の関心を引きつけていました。また、アワード前半にはAGRISTの方による講話もあり、座学では学べない実践的な知識や視点に触れることができました。
今回の経験は、今後のゼミ活動や授業、そして将来にも必ず活かせる貴重な学びとなりました。この機会をくださった関係者の皆さまに感謝し、得た知識と気づきを次の成長につなげていきたいと思います。

今回の高大連携プロジェクトでは、生徒の挑戦を力強く支え、実践的な学びの場づくりに貢献されました。


社会実装へ向けた取り組み
PBL型ワークショップが「岡山のまちアイデア甲子園」へ
さらに岡山市議会本会議で一般質問として提言されました
「投票デビューおかやま2025」では、政策を“考えるだけで終わらせない”ことを重視しています。
東岡工の生徒さんがワークショップで考えた「動物愛護をテーマにした政策アイデア」は、2025年9月23日に開催された岡山青年会議所主催「おかやまのまちアイデア甲子園」にて高校生と一緒にプレゼンテーションを行い、地域課題の解決提案として発表。岡山青年会議所理事長賞を受賞しました。
岡山市議会にて政策提言へ
さらにこの動物愛護の提案をベースに、2025年12月9日の岡山市議会本会議(第5日)一般質問にて、安東真理議員によって正式に取り上げられ、政策提言として市に示されました。
「投票デビューおかやま2025」と「動物愛護プロジェクト」を掛け持ちしている現代経営学科3年、柴田 咲さん、長岡 依吹さんも傍聴に参加し、「若者のアイデアが行政へ届くプロセス」、「政策が社会の仕組みに影響を与える瞬間」を直接体験する貴重な学びとなりました。
これは、単なるアイデア発表にとどまらず、若者の提案が社会実装へと動き始めた事例となり、「政治への無関心」を乗り越える第一歩として大きな意味と価値をもたらしました。

奨励賞
親孝行スイーツ「ハイスクールマフィン」
Z世代と一緒に地域資源でつくるウェルビーイングブランド
高校生×大学生×地域企業の三者連携で開発した「ハイスクールマフィン」は、地域資源を活用した商品開発のプロセスと、教育と産業を結ぶ新しいモデルが評価され、奨励賞を受賞しました。
若者のアイデアを大学生がブランド化し、企業と協働して商品として形にする取り組みは、地域活性化の新しい形として注目されています。
これまでの活動まとめ


受賞は新たなスタート
AIが加速度的に進化する現代においては、理念を掲げたり知識を蓄えたりするだけでは、人も組織も動かない時代になりつつあります。これから求められるのは、パーパスを中心に据え、理念を行動へと転換し、挑戦と協働を通じて新たな知を生み出し、社会に実装していく「実践知の循環」です。
この実践知は、身体性・行動力・協働力を伴う実践のプロセスの中で育まれ、非認知能力や自己効力感を高め、心身と社会の双方のウェルビーイングにつながります。そして、たとえアワードで評価され、賞をいただいたとしても、それは終着点ではありません。むしろ、社会に求められている価値がどこにあるのかを確認し、次の挑戦へ踏み出すための「新たなスタートライン」です。 受賞は「実践知の循環」をさらに加速させる契機であり、地域や社会にどのように還元していくかが、これからの責任であり、学びの深化そのものです。今後もAIでは決して代替できない「人間力としての知」を社会に根づかせ、その成果を受賞で終わらせることなく、次の実践へつなげていくよう挑戦してまいります。











