【スポーツ科学センター】逆境からの日本インカレ決勝進出!スポーツ科学センターの栄養サポートによる復活劇
6月5日から8日にかけて地元・岡山で開催された陸上競技の日本インカレ。男子1500mにおいて、体育学科4年の髙嶋荘太選手がスポーツ科学センターのサポートを受け、決勝進出を果たしました。
この3年間、度重なるケガにより自己記録を更新できず、悔しい思いを抱き続けていた髙嶋選手。最後の日本インカレに向けて、冬のトレーニングは比較的順調に消化したものの、4月のレースでは思うような走りができませんでした。例年より早い6月開催となった日本インカレの参加標準記録も突破できていなかった髙嶋選手が「何かを変えなければ」とすがったのが、スポーツ科学センターの保科圭汰先生(スポーツ栄養学)でした。
本稿では、髙嶋選手を日本インカレの標準記録突破、そして本戦での決勝進出に導いた保科先生の栄養サポートをご紹介します。
「体組成」の正確な評価が改善の第一歩
度重なるケガの一因が体重過多でもあった髙嶋選手に、保科先生がまず提案したのは、脂肪量と除脂肪量(筋肉量)の割合を示す体組成の正確な評価でした。IPUスポーツ科学センターの測定施設「インスパイア」に常設されている体組成測定器「BodPod」は、家庭用機器開発における妥当基準として各社が採用する、体組成評価のゴールドスタンダード機器です。

4月の測定では体脂肪率は11.1%(脂肪量:6.77kg・除脂肪量:54.41kg)、一般成人からすると低い値ですが、中距離選手としてはやや高めの数値でした。しかし、スピードがパフォーマンスに強く影響する中距離選手にとって、脂肪量を減らすと同時に除脂肪量(≒筋肉量)まで減ってしまっては、パフォーマンスの向上は望めません。「除脂肪量を維持あるいは増加させつつ、脂肪量のみを減少させる」という難題の解決は、髙嶋選手一人では困難でした。そこで、公認スポーツ栄養士の資格を持つ保科先生による実践的な食事改善のアドバイスが効果を発揮しました。

ストレスなく継続できる食事改善策
保科先生からのアドバイスは、食事内容を大きく変えることなく実践できるものでした。具体的には、以下の点が挙げられます。
- 脂質が多くなりがちな外食を控える。
- 卵かけご飯のみだった朝食にヨーグルトを加え、タンパク質を摂取する。
- 豚肉を購入する際は、バラ肉ではなくロースやもも肉を選ぶ。
- オフの日は食事量を調整する。
これらのアドバイスを食事に反映させた結果、髙嶋選手は大きなストレスを感じることなく、4月7日から6月3日にかけて、除脂肪量をほぼ維持(54.41kg → 54.31kg)しながら、脂肪量を2kg近く減量(6.77kg → 4.79kg)することに成功しました(体脂肪率は8.1%に減少)。

栄養サポートが導いた復活劇とIPUスポーツ科学センターの強み
「体脂肪を減らそう」と考える際、多くの選手は偏った食事や大きなストレスによってパフォーマンスを低下させがちです。しかし、髙嶋選手は正確な評価と目標設定、そしてストレスの少ない食事改善によってトレーニングも順調に行うことができました。
その結果、4月末のレースで日本インカレの標準記録を突破する3分47秒17をマーク。さらに日本インカレ本戦では、15名中11位の持ち記録ながら、組5着に入る3分45秒21をマークし、見事決勝進出を果たしました。
IPUスポーツ科学センターでは、体組成以外にも3Dボディスキャンによる形態評価、持久力やパワーの評価など、多角的に選手の現状を確認できます。また、様々な分野の専門家から適切なアドバイスを受けることが可能です。このような充実したハードとソフト、そしてそれらを活用した選手の努力が、66年ぶりの地元開催であった日本インカレを盛り上げました。

