クラファンを経て世界大会へ!数々の苦難を乗り越えてきたパワーリフティング選手・小森慎哉さんの歩み
今回の対談ゲストは、IPU・環太平洋大学 大学院の修士課程でスポーツ科学の研究に取り組みながら、パワーリフティング競技の選手としても活躍する小森慎哉(まさや)さん。これまでさまざまな試練に見舞われるたびに新たな挑戦を続けてきました。今年は自ら立ち上げたクラウドファンディングを成功させ、トルコで開催された世界大会に日本代表として出場。そこまでに至る経緯や、今後の目標などについてお話を伺いました。

小森慎哉さんの経歴

小森 慎哉さん
環太平洋大学大学院 スポーツ研究科学科1年
(鹿児島高等学校 出身)
大学院1年の小森さんは高校までハンマー投げと槍投げの選手で、本学への入学当初も陸上部に入部しました。しかし、間もなくして、唯一の生計維持者である母が闘病生活を送ることに。学業と部活の両立は厳しい状況となり、退部を決意します。
そしてその後、比較的個人のペースで取り組みやすかったパワーリフティング競技に転向。すると、3年生で初めて出場した全日本学生パワーリフティング選手権大会(インカレ)で2位、4年生では5位のという輝かしい結果を残します。そして大学院生となった今年7月には、トルコで開催された世界大会・パワーリフティング学生選手権(ユニバーシティカップ)へ日本代表として出場。その遠征費用は、自ら立ち上げたクラウドファンディングで募り、無事達成することができました。


仲間が増えキャプテンとして牽引

競技転向後、2年弱でインカレ2位に!


大橋節子学長(以下、大橋) もともとは陸上をやってたのよね?
小森慎哉さん(以下、小森) はい。入学時は陸上部に入部したのですが、母の病気のこともあっていろいろと限られる場面が出てきてしまい、3カ月ほどで退部しました。もちろん成績は自分次第ですが、どうしても学業と部活を両立するのは厳しく、学業を辞めるわけにはいかないので退部を決めました。
大橋 なるほど。
小森 陸上をしていた頃に練習でウエイトトレーニングは経験していて、比較的数値が高い自覚があったので、2年になる前に個人的に非公式なパワーリフティングの試合に出てみることにしました。すると、その結果をご存知だった三浦学部長が「本格的に始めないか」と、お誘いのメールをくださったんです。部活とは違って自分のペースで取り組めそうだったこともあり、挑戦しようと決めました。
大橋 やってみたら面白いし、すぐできた感じ?
小森 最初は慣れなかったので、徐々にですね。2年の春から本格的に競技をはじめ、3年の時にパワーリフティング学生大会にIPUが登録され、11月の全日本学生パワーリフティング選手権大会(インカレ)に出場することができました。そこで105キロ級の2位に入った感じです。ただ、4年時は5位に落ちてしまったんですが…。

大橋 すごいわね!何キロくらい上げるの?
小森 パワーリフティングの種目には、『スクワット・ベンチプレス・デッドリフト』の3つがあるのですが、僕はスクワットが250kg、ベンチプレスが150kg、デッドリフトが250kgで、トータル650kgです。
大橋 すごい!そう言えば、膝を怪我してなかった?ものすごい力がかかるもんね…。
小森 膝の半月板と股関節を痛めたんですが、なんとか戻ってきました。もう痛みは取れています。
大橋 そうですかそうですか。無理しないようにね。
大学院へ進学。最初で最後の学生世界大会へ
大橋 大学院への進学も色々と悩んで、最後はものすごく頑張って勉強して進学したのよね。私も周囲に状況を聞きながら相談にのらせてもらって。
小森 もともと他の大学院を受けたんですが、残念な結果になってしまって…。路頭に迷うような心境の時にたまたま学長とお話しする機会があり、相談させていただきました。
大橋 結果として良かったでしょ?本学の人たち、みんな親切だよ。
小森 はい。今は西島先生の研究室に所属していますが、進学するにあたっては、学部生の頃に所属していたゼミの田中先生も親身に相談に乗ってアドバイスしてくださいましたね。

大橋 パワーリフティングの方はどう?世界大会の開催場所は場所はどこでしたっけ?
小森 トルコのイスタンブールです。この世界大会の出場選手は、昨年のインカレの成績をもとに選出されるのですが、選出条件として団体で入賞してないければいけないんです。IPUは昨年5名が出場して団体4位に入ることができたので、今回の出場権が得られました。一昨年のインカレはIPUからの出場者が僕一人だけだったので、個人2位でも世界大会に出られなかったんです。今回が最初で最後の挑戦になります。
大橋 今回日本から派遣されるのは何名なんですか?
小森 全部で10名です。
大橋 結構な数なんですね。遠征のために行ったクラウドファンディングは、どこかに相談して始めたの?それとも自分で?
小森 自分で決めました。昨年もパワーリフティングの世界大会に出場するために、クラウドファンディングを行っていた学生選手がいたんです。クラウドファンディングができるサイトは複数ありますが、パワーリフティングのプロジェクトが多いサイトを選びました。
大学院生が目指す、世界学生パワーリフティング選手権プロジェクト
大橋 他の人も成功してたの?
小森 はい。してました。
大橋 なるほど。頑張ってくださいね!良い成績を…自分の納得する成績を取ってきてくれたらと思います。

興味があることには、とことん挑戦中!
大橋 あと1年半ほど大学院で勉強したら、将来的はどうしたいか決まってるの?
小森 今のところ、就活と博士課程を両方進めていきたいと考えています。夏のインターンシップや説明会には参加したいので、自己分析を進めている状況です。
大橋 博士課程まで行ってリサーチしようと思うテーマがあるのね?今何を研究してるの?

小森 筋電図を使った実験を行っていて、スクワットに対する特定の筋部位、特に腹筋を中心に研究しています。研究にはプログラミングの技術も必要なので、基礎情報技術者検定という資格も取ろうと勉強しているところです。
大橋 なるほどなるほど。パワーリフティングの方は、社会人で続けるという選択肢はなかなかないの?
小森 11月に横浜で行われるアマチュアの全日本大会までは競技を続けて、その後はどうするか考えたいと思います。また、日本スポーツ協会のコーチ資格の試験も受けに行く予定です。この資格を取得すれば、国体の監督やセコンドを務められるようなので。
大橋 すごいわ!バラエティに富んだ自分の進路から資格まで、幅広く物事を捉えられるっていうのは、すごく良いことだわ。これからも活躍を期待しています。頑張ってください。

追記
対談から約2週間後、7/15〜20。小森さんは、トルコ イスタンブールにて開催された【世界学生パワーリフティング選手権】に日本代表として出場されました。結果は男子105kg以下級で14位。大会時のスクワットで膝の怪我が再発してしまい、ベスト記録を出せず悔しい思いをいたものの、多くの方のご支援で「世界大会」という夢の舞台に立つことができました。今後のご活躍に期待します。












