IPU・教育講演会「探究学習をどう指導するか」を開催しました
2023年3月13日、IPU・教育講演会「探究学習をどう指導するか」が、IPU DISCOVERY プレゼンテーションラボで開催されました。
まず、松下佳代京都大学大学院教授による講演「対話型論証を使った試み-その理論と実践-」では、新刊『対話型論証で進める探究ワーク』の中にある「対話型論証モデル」について紹介されました。さらに「Fukushima Nuclear Flowers」を例題として、教育現場で活用するためにはどのような流れで問題(リサーチクエスチョン)から結論・提言に導いていくか、「三角ロジック」を用いて説明されました。「ある問題に対して、他者と対話しながら、根拠を持って主張を組み立て、結論を導く活動」こそが、探究学習を行う上でも中核となると話されました。
続いて、探究学習に関する実例発表があり、高槻高等学校 前田秀樹先生、岡山県立瀬戸高等学校 絹田昌代先生、岡山学芸館高等学校 橋ケ谷多功先生が登壇されました。
松下先生も実践指導・助言されている高槻高等学校の前田先生からは、「三角ロジック」のフレームを活用しながら生徒の個性や興味を引き出す探究学習の実践例についてご紹介いただきました。また、書籍『対話型論証で進める探究ワーク』は、ウェブサイト(https://www.d-argument.net/activation.php)ともリンクしており、対話型論証の実践のコミュニティを共有することもできるようになっているそうです。
岡山県立瀬戸高等学校の絹田先生は、校内の先生方や校外の様々な分野の人たちと繋がりながら、どのように探究活動を深めていったかお話くださいました。探究学習を軸に「受け取る力」「伝える力」「つながる力」「考える力」「見つける力」「より良くなろうとする力」の6つの力を伸ばしていった高校生の成長ぶりを紹介されましたが、絹田先生ご自身が探究活動を楽しんでおられることが伝わってきました。
岡山学芸館高等学校の橋ケ谷先生からはバラエティーに富んだゼミ活動から生まれる探究学習について発表されました。探究学習のカリキュラムは、手段が目的化しないようなパーパス設計と「学びの深化プロジェクト」でアラカルト体験学習で設計すべき等、手段と目的を意識したカリキュラム開発について、実践に基づいた提案がされました。
どの先生からも、探究学習が各学校の特色になり、生徒たちの成長につながると情熱を持ってお話くださいました。
参加者からは、「お一人ずつの話でも講演会を開催してほしい」「探究は楽しいんだということが伝わってきました」「生徒の意欲を引き出す方法について真似をしてみたいことがたくさんありました」等、翌日からの指導に活かせるヒントがたくさんあったようでした。
最後に、松下先生、実例発表3人の先生とともに、本学小川正人副学長による司会進行にしたがって、シンポジウムが行われました。フロアーから「探究学習」と「基礎学力、受験、時間」等に関して質問がありました。先生方が丁寧に回答され、有意義な質疑応答の時間となりました。
学年末の多忙な時期にも関わらず、中学校、高校の先生をはじめ、113名の方々にご参加いただきました。これは、多くの先生方が探究学習の指導について関心を持っておられる現れでもあります。
今後も、環太平洋大学では、地域の先生方に還元できるような取り組みを行ってまいります。