大学院(スポーツ科学研究科)開設記念シンポジウム開催-「オリンピックとスポーツ研究」
9月21日、ピュアリティまきびにて「IPU・環太平洋大学大学院スポーツ科学研究科開設記念シンポジウム」を開催いたしました。
本シンポジウムは、中四国地方初となるスポーツ科学に特化した大学院「スポーツ科学研究科」が来春(2025年4月)開設されることを記念したもので、大学院で指導にあたる教授5名が「オリンピックとスポーツ研究」をテーマにそれぞれの研究分野・専門領域の視点から発表を展開しました。
オリンピック・スタディーズ
スポーツ史・スポーツ人類学の立場から
真田 久 教授
日本人で初めて国際オリンピック委員会(IOC)を務めた嘉納治五郎について紹介されました。
幻となった1940年の東京オリンピック開催の理念として、かつて嘉納が唱えた“オリンピックを世界の文化に”“精力善用・自他共栄”の構想は、現在のオリンピックのレガシーにもなっていることを讃えました。
スポーツ工学が変えるオリンピック
浅井 武 教授
スポーツ用具の発展が競技レベルの向上に寄与している点について紹介されました。
クッション性の高い厚底シューズや弾性の高い棒高跳びのポールの進化、サッカーボールの面や素材の進化を歴代のデザインやデータを用いながら、その進化を支えてきたスポーツ工学について述べられました。
オリンピック競技の進化とスポーツ運動学
佐野 淳 教授
オリンピックにおける競技の進化の諸様相や科学的分析の視点について解説し、選手の競技力向上のためのコーチングについて、「選手の感覚やイメージを解明すること」や「選手とコーチの関係を道徳的(人間的)関係であること」を前提とした指導方法の重要性について述べられました。
オリンピックを支えるスポーツデータサイエンス
西嶋 尚彦 教授
データサイエンスが、アスリートのパフォーマンス向上や戦略分析に活用されている他、オリンピックの大会運営や観客へのサービス向上についても活用されている事例を紹介されました。分析技術が進歩する中、大学院にはデータ活用の在り方を示す役割が期待されると話されました。
オリンピックとスポーツ倫理学研究
友添 秀則 教授
ドーピング、人種差別、ジェンダー、賭博、暴力、政治利用などのスポーツにおける倫理的問題について紹介されました。これからのスポーツを創造していく上で、スポーツの世界で何が許され、許されないのか考察し、スポーツのあるべき方向性を示すことの重要性を述べられました。
また、会の後半には、真田 久(スポーツ科学研究科長予定者)より、大学院の概要や入試について詳細な紹介がありました。
今回のシンポジウムには、県内外の大学生を中心に約100名が参加し、大学院への進学を希望する学生からは熱心な質問もあり、研究への興味や方向性が明確になった様子でした。
また、一般参加された皆様にはスポーツやオリンピックの現状や舞台裏、最先端の科学を知っていただく機会となりました。
なお、大学院の入試情報を公開しております。
入学希望の方は、学生募集要項をよく読み出願の手続きをお願いします。